今回紹介するALOFT HOODED JACKET(アロフトフードジャケット)は、2019年の秋冬新作モデルです。
クシタニの防寒テキスタイルウェア中で最も高性能なジャケットの一つであるアロフトショートジャケットに、フードが追加さました。
よりカジュアルなデザインとなって、街中でも着て行きやすくなりました。
最高レベルの防寒性能とカジュアルなデザインが両立したこの秋冬モデルの中でも注目のジャケットです。
生産数が少ないこともあり、入荷後即完売が予測されます。
今回は2019年、秋冬新作のALOFT HOODED JACKET(アロフトフードジャケット)を紹介したいと思います。
目次
ALOFT HOODED JACKET(アロフトフードジャケット)
1.シルバー
参考画像:KUSHITANI 公式HP
2.ネイビー
参考画像:KUSHITANI 公式HP
3.ブラック
参考画像:KUSHITANI 公式HP
付属インナー(GRAY DUCK DOWN MID-グレーダックダウンミッド)
参考画像:KUSHITANI 公式HP
KUSHITANI(クシタニ) ALOFT HOODED JACKET(アロフトフードジャケット)の基本情報
■素材:〈表〉ナイロン100%(puラミネーション/初期耐水圧30,000mm以上、透湿性19,000g/㎡/24h)、別布/牛革
〈裏〉ポリエステル100%(メッシュ)
《インナー》〈表〉ナイロン100%〈中綿〉ダウン70%,フェザー30%
〈裏〉ポリエステル100%
■仕様:プロテクターパッド別売り
■カラー:①ブラック②シルバー③ネイビー
■サイズ:M、L、LL、XL
■価格:57,000円(+税)
=====メーカー説明=====
本格的なツーリングや長時間のライディングを得意とするパーカースタイルの防水ジャケット。高い耐水圧・透湿性で雨具を必要とせず、日中の暑くなったジャケット内を換気する機能も装備。インナー脱着式で幅広いシチュエーションに対応、この一着で快適に旅することができます。走行中は、フードをループに留めることでばたつきを軽減します。微光沢のあるヘリンボーン素材にデザインテープ・配色ステッチなどでクラス感のある一着に仕上げています。単体でも着用可能なインナーの中綿には、ダウンとフェザーを使っています。
KUSHITANI(クシタニ) ALOFT HOODED JACKET(アロフトフードジャケット)は秋冬用ライディングジャケットのフラグシップモデル
●クシタニの秋冬用防寒ジャケットの中で最も高性能の位置づけ
このアロフトフードジャケットは、通常のアロフトジャケットと共に、クシタニの秋冬用防寒ジャケットのラインナップの中で最も防寒性能に優れているモデルとして位置づけられています。
●優れた耐水圧
このジャケットの耐水圧は30,000 mmです。
オールウェザー(全天候型)といっても差し支えない数値を有しています。
普通の雨の中で使用するのであればレインウェアは必要ないですね。
ほかのクシタニの防寒ジャケットの耐水圧は10,000 mmなので(※アニフェスジャケットのみ耐水圧性能を有していません)、普通の雨の中を低速で短時間走ることができる程度の性能しか有していません。
しかしアロフトジャケットであれば、結構飛ばして走っても防水性能を発揮できる数値です。急な雨も気にすることなく走行を続けることができます。
特に冬場のライディングは、寒風のために、体感温度がかなり低くなります。
急な雨で浸水を許してしまうと急激に体温を奪われてしまい、最悪の場合低体温症になってしまう場合もあります。
例えば急な雨でも、高速道路を走っていた場合は、速度も落とすことも難しいですし、走っている場所によってはしばらく止まることができません。
そんな状況でも雨水の侵入を許さない優れた防水性能というのは、同時にすぐれた防寒性能とも言い換えることもできるのです。
※ちなみに、バイクウェアの防水生地については以前僕が書いた記事があるので、お時間があればこちらも読んでみてください。
参考記事:バイクウェア 防水機能について バイクウェアに必要な耐水圧は?
但しスピードを上げすぎるとこのアロフトジャケットでも浸水を許してしまうので注意が必要です。耐水圧30,000 mmというのは優れた数値ですが、万全ではありません。
GORE-TEX(ゴアテックス)なら耐水圧45,000mmあるのでさらに安心なんですけどね。
※現在クシタニの製品にゴアテックスを使用した製品はありません。ゴアテックスの卸元会社の方針で少量しか扱わない会社にはゴアテックスの卸をやめてしまったそうです。残念です。
●透湿性も優れている
このジャケットの透湿性は19,000 g/㎡/24 hあります。
透湿性とは簡単に説明すると、衣服内の水滴にならない汗、つまり蒸気の状態の汗を、生地が衣服内から外側へ透過させる度合いの性能です。
生地1 ㎡あたり、24時間で何gの水分を透過するかで表示されています。
つまりこのアロフトジャケットは24時間で1 ㎡あたりにつき、19,000 g(19 Kg)の水蒸気を透過する能力があるということですね。
では一般的な発汗量の目安を見てみましょう。(体質や季節によって数値は少し異なってきますので注意してください)
●発汗量の目安
・大人安静時:約1,200 g/ 1 ㎡/24 h
・軽い運動時:約12,000 g/1 ㎡/24 h
・スポーツなどの激しい運動時:約24,000 g/1 ㎡/1 h
バイクウェアを着ていて激しい運動をすることは殆どないと思うので、目安となるのは軽い運動時の数値でしょう。
アロフトジャケットの数値は19,000 g/㎡/24 hですので、目安の数値の1.6倍あります。
ライディング時やバイクを降りて歩く程度の運動量においては、アロフトジャケットの透湿性は十分すぎる性能です。
このレベルであれば当然個人差はありますが、蒸れを感じることはあまりないでしょう。
●アロフトフードジャケットの防水透湿性能に関する注意点
このジャケットの防水性と透湿性はPUラミネーションによるものです。
当然加水分解からは逃れることはできず、このジャケットの防水性と透湿性は2~3年で寿命を迎えることとなります。
ゴアテックスが使用できなくなったので、PUラミネーションに頼るのは仕方ないとも言えますが、今後は耐久性の高い素材の開発及び使用を期待したいところです。
KUSHITANI(クシタニ) ALOFT HOODED JACKET(アロフトフードジャケット)のインナージャケットは高性能!(GRAY DUCK DOWN MID-グレーダックダウンミッド )
●インナージャケットは高性能
このジャケットはアウターとインナーに分かれています。
防風防水性能は表側のジャケットの機能ですが、防寒と保温機能は、インナージャケット(GRAY DUCK DOWN MID-グレーダックダウンミッド)が備えています。
インナージャケットはダウンジャケットです。
中綿の配分率はグレーダックダウン70%, フェザー30%です。
参考画像:KUSHITANI 公式HP
●ダウンを70%に抑えている理由
ダウンジャケットの特徴として、フェザーの含有率が低ければ低いほど高性能というのが一般的です。
最も暖かいダウンジャケットの比率は、ダウン9:フェザー1です。
(ちなみに、クシタニのホワイトグースダウンジャケットは上記の比率です。)
ではなぜこのインナーダウンジャケットの比率はダウン7:フェザー3なのか。
それは、暖かくなりすぎるの防ぎ、人の常温の温度域を維持して快適な状態を保つためです。
そのために、あえてダウンとフェザーの比率を7:3にしているとのことらしいです。
一応ダウンとフェザー比率が7:3であっても、十分に保温性を確保できるとされています。
●ダウン7:フェザー3が災いし、収納性は微妙
ダウンジャケットのメリットとしてもう一つ大きいのが、その収納性ですが、
アロフトフードジャケットのインナーダウンジャケット(GRAY DUCK DOWN MID-グレーダックダウンミッド)は小さくしてスタッフバッグなどに詰めることができません。
フェザーの比率が多いためです。
※無理やり詰め込んだ場合は、中のフェザーが折れて復元不可能になる場合があるので注意してください。
収納性を重視される方は、別でホワイトグースダウンジャケットを購入されることをおススメします。
一応、DOWN LIKE MID-ダウンライクミッド(化繊)に比べれば、こちらの方が折りたたんで収納する場合は小さくまとめることができます。
KUSHITANI(クシタニ) ALOFT HOODED JACKET(アロフトフードジャケット)のその他の機能
●ストームガードやウエスト調整ベルトで熱を逃がさない
ストームガード、ウエスト調整ベルトといったより熱を逃がしにくくする機能が付いています。
特にストームガードは走行中に下から巻き込む風がウェア内に侵入するのをシャットアウトしてくれます。
これがあるだけで走行中のウェア内の温度低下を大きく抑えることができます。
ストームガード
参考画像:KUSHITANI 公式HP
●ウエスト調整ベルト
参考画像:KUSHITANI 公式HP
●エアーインテークとエアーダクトで暖かくなりすぎた空気を排出可能
両腕にエアーインテーク、背中にエアーダクトが付いており、ジャケット内の空気の循環が可能になっています。
冬の日でも日中は暑くなる日があるので、そういうときでもウェアの暖かくなりすぎた空気を排出して快適なライディングをすることができます。
●エアーインテーク
参考画像:KUSHITANI 公式HP
●エアーダクト
参考画像:KUSHITANI 公式HP
●バタつき防止タブ
参考画像:KUSHITANI 公式HP
●首元のフラップは使わない時は折りたたみ可能
首元のフラップは首元の防寒のために非常に重要ですが、使わない時は邪魔でしかありません。
また見た目にもそのままだとあまり良くないですね。
アロフトフードジャケットは首元のフラップを折りたたむことができます。
細かな部分ですが、こういった機能は付いていると使い勝手が良くて助かります。
KUSHITANI(クシタニ) ALOFT HOODED JACKET(アロフトフードジャケット)の2018年モデルからの変更点
このジャケットは2019年秋冬から新登場したジャケットですが、2018年のアロフトショートジャケットがベースモデルとなっています。
参考画像:KUSHITANI 公式HP
このアロフトショートジャケットにフードが付いたモデルが、アロフトフードジャケットと考えて頂いて問題ありません。
デザインや防水透湿性能もほぼ同じです。
フードが付いて、カジュアルなデザインになったということと、フードが付いたことにより、首周りの防寒性能が増したことが主な変更点ですね。
KUSHITANI(クシタニ) ALOFT HOODED JACKET(アロフトフードジャケット)の問題点、デメリット
●腕と袖口のマジックテープとフロントのマジックテープがよくくっつく
ジャケットのフロントを全開にした状態のとき、フロントのマジックテープと
腕や袖口のマジックテープがかなりくっつきやすいです。
バイクを降りて室内に入った時など、暑すぎるとき、フロントを全開にするのはよくある状況ですが、
そんなとき、いちいち腕側のマジックテープがフロント側に引っ付きます。
正直非常にうっとおしいです。
個人的には、これなんとかできなかったのかなぁと思ってしまいます。
暑い時などは、フロントを全開にするシーンって結構あると思います。
全開にしたまま動いていると、しょっちゅう袖とフロントのマジックテープ同士がくっついてしまい、ほんとうっとおしいです。
袖のアジャスターを逆側から巻くようにすればこの問題解決できるのですが、できない理由があったのでしょうか?
ウィンターウィルジャケットは、袖のアジャスターを下から巻くようになっているので、できないことはないと思うのですが……
●参考画像
参考画像:KUSHITANI 公式HP
アジャスターを後ろから巻く場合は、袖口とフロントのマジックテープはくっつきにくいですが、
前から巻く場合は、袖口のマジックテープがフロントに近い側が残るので、くっつきやすいです。
●フードが取り外し、または収納できない
アロフトフードジャケットは完全防水を謳うジャケットです。
ジャケットの生地は高耐水圧高透湿性で、防水構造もしっかりしており確かにその通りです。
しかし大きな問題点が1つあります。
それは、フードが取り外し、または収納できないことです。
フードが付いたままだと、大雨のなか走行した場合、フードに水が溜まってしまいます。
ふとした拍子にフードにたまった水が自分の頭にぶっかかる可能性もあります。
雨天走行時はフードは邪魔でしかないのです。
そのためこういったジャケットは基本フードが取り外せるか、または収納できるようになっているのですが、このジャケットはそれができません、
完全防水を謳うなら、フードは取り外せるか、収納できるようにしておいて欲しかったですね。
●高額な値段の割には長い間使用できない
このジャケットの防水性と透湿性はPUラミネーションによって付加されたものです。
当然加水分解からは逃れることはできず、このジャケットの防水性と透湿性は2~3年で寿命を迎えることとなります。
それにも関わらず、価格は57,000円(+税) 消費税10%で62,700円です。
かなり高額ですね……
クシタニの防寒テキスタイルモデルの中では最もハイパフォーマンスですが、一方でコストパフォーマンスは低いと言わざるを得ないでしょう。
ゴアテックスが使用できなくなったのでPUラミネーションに頼るのは仕方ないとも言えますが、今後は耐久性の高い素材の開発及び使用を期待したいところです。
●アウタージャケットがバラ売りされていない
このアロフトフードジャケットはアウタージャケットとインナージャケットの2種類で一つのジャケットを構成しています。
参考画像:KUSHITANI 公式HP
それらを襟の裏と両袖部に付いている3箇所の留め具(通称クシタニコネクション)で一体化することが可能です。
参考画像:KUSHITANI 公式HP
このクシタニコネクションは、ほぼすべてのクシタニのテキスタイルウェアに採用されていて、インナーとアウターの互換性があります。
なのでアロフトフードジャケットのインナージャケットは、ほかのウェアのインナーとしても使用することができるのです。
しかしながら現在クシタニから販売されている防寒テキスタイルジャケットは、ほぼ全てアウターとインナーのセットで販売されています。
(※アニフェスジャケットとウィンターチームジャケットは除く)
●インナージャケットのみが増えていく……
なので他の防寒ジャケットを別に購入する場合は、インナージャケットがだぶることになります。
そして次の年に新作が出て購入する場合も、インナージャケットがさらにだぶることになります。
さらにアウタージャケットの防水透湿機能はPUコーティング(ポリウレタンコーティング)によって付与されており、製造から2~3年で機能が失われてしまいます。
つまりインナーはまだ全然使えるのに、アウターはもう使えないという事態が発生するのです。
購入する側としては非常にコスパが悪いですよね。
せっかく共通の互換システムを採用しているのですから防寒ウェアもアウターとインナーでばら売りにしてほしいものです。
●インナージャケットは別売されるらしいが……
今回インナージャケットの
・ダウンライクミッド
・グレーダックダウンミッド
・ホワイトグースダウンジャケット(一昨年のモデルが復活)
の三種類のインナージャケットが別売されることになりました。
それは嬉しい事なのですが、肝心のアウターはバラ売りされる予定はないそうです。
残念ですね。
僕としては、アウターの中のインナージャケットにホワイトグースダウンジャケットを使いたいので、是非ともばら売りして欲しいのですが……
●バラ売りでなくても、アウターとインナーの組み合わせを選ばせてほしい
バラ売りできないにしても、せっかく今回インナージャケットを全てバラ売りすることになったのですから、アウタージャケットとインナージャケットの組み合わせをユーザーが選べるようにしてほしいかったですね。
それは来年に期待しましょう。
KUSHITANI(クシタニ) ALOFT HOODED JACKET(アロフトフードジャケット) まとめ
●イチオシポイント!
・ハイレベルな機能性を持ちながら、パーカー付きでカジュアルな外見
・インナージャケットが非常に高性能で、これだけでも普段使いできる
●残念なポイント
・6万超の高額な割には、3~5年で防水透湿性能が失われる
・袖口とフロントのマジックテープがよく貼りつくのでうっとおしい。
今回はクシタニの秋冬新作ジャケット、ALOFT HOODED JACKET(アロフトフードジャケット)を紹介しました。
アロフトフードジャケットはクシタニの防寒バイクウェアの中で最も高い性能を持ちながら、
カジュアルなデザインのジャケットです。
バイクウェアとしてハイレベルな機能性も欲しいけど、カジュアルなデザインも欲しいという方におススメです。
値段も高いですし、一着買えば5~10年使用できるというわけではないのがネックですが、
冬のライディングを少しでも快適にしたいという方にはおススメのジャケットです。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。