雨の日にバイクで走るときに必須のアイテム……それはレインスーツ。
現在バイクアパレルメーカー各社から様々なレインスーツが販売されています。
たくさんあるレインスーツ、一体どのレインスーツにすればよいのか……
迷っている方も多いかと思います。
理想のレインスーツはGORE-TEX
参考画像:GOLD WIN (ゴールドウィン)ゴアテックスレインスーツ
画像参照元:GOLDWIN公式HP
理想のレインスーツはGORE-TEXを採用したレインウェアです。
全てのレインウェアの中で文句なしに最高性能ですし、ほぼあらゆる雨天走行のシチュエーションに対応できます。
しかしそれゆえかなり高額……(泣)。
それに恐らく殆どに人にとってはオーバースペックです。
例えば通勤に使用される方や、ちょっとそこまで出掛ける方にとっては、GORE-TEXレベルの高耐水圧性は必要なく、もっと低い性能の安価なレインスーツでも問題ないです。
バイクを使用するシーンというのは当然、その人その人によって違いますよね。
GORE-TEXは雨の中でも長距離を走行しなければならない人向けのスペックです。
普段使いのバイク用レインスーツに必要な耐水圧と透湿性は?
まず、僕の推奨するバイク用レインウェアの最低スペックは以下の通りです。
●初期耐水圧:20,000mm/m3
●透湿性:10,000g/m2/24h
このスペックがあれば、日常使いの大体のシーンに対応できます。
もっとも安価な部類である初期耐水圧:10,000mm/m3程度のレインスーツに比べると、お値段がちょっと高くなってしまいますが……
それでも上記の耐水圧以上のレインウェアを購入することを強くお勧めします。
バイク用レインスーツは初期耐水圧は10,000mm/m3あればいいのか?
バイク用レインスーツとして初期耐水圧は10,000mm/m3あればいいと記載しているサイトもあります。
しかし正直言って耐水圧10,000mm/m3程度では浸水する可能性が高いです。
それはなぜかというと、普通程度の雨だったとしてもバイクで速度を出して走れば、レインウェアが受ける圧力は、容易に大雨や台風レベルに匹敵してしまうからです。
耐水圧10,000mm/m3程度では普通程度の雨でも時速60km以上で走行すると浸水の可能性がぐんと高くなってしまうのです。
バイク用レインウェアに必要な透湿性は推奨10,000g/m2/24h
この数値が低いとスーツ内の蒸れを排出できずに、スーツ内が自身の汗でびしょ濡れになってしまいます。いくら雨を防ぐことができても自身の汗で濡れてしまっては意味ないですよね。
そのためこの数値も高ければ高いほど良いです。
しかしながら、やはり高ければ高いほどそのレインウェアも高額になっていきます。
一般的に透湿性は8,000g/m2/24h程度あれば、蒸れによる不快さをかなり軽減できます。
しかし雨天走行時は生地の上に雨水が乗りスーツ内から外への透湿を妨げます。
そのため、上記の数値よりも少し高めの数値が望まれます。
m2あたりの透湿性は10,000g/m2/24h程度あればいいですね。
レインスーツには撥水機能も重要
撥水とは、生地の表面に付着した水を水滴状にさせて転がせて水をはじく機能のことです。
なぜ撥水機能が大事かというと、
生地に付与された耐水圧と透湿性を最大限に発揮させるためです。
撥水性能の評価は5段階あり、1が最も低く、5が最も高いです。
2級から撥水加工という表記を付けることが可能です。
1級:表面全体に湿潤を示すもの。
2級:表面の半分に湿潤を示し,小さな個々の湿潤が布を浸透する状態を示すもの。
3級:表面に小さな個々の水滴状の湿潤を示すもの。
4級:表面に湿潤しないが,小さな水滴の付着を示すもの。
5級:表面に湿潤及び水滴の付着がないもの。
JIS L 1092:2009 繊維製品の防水試験方法より抜粋
バイク用レインスーツでしたら最低でも3級レベルの撥水性は欲しいところです。
また撥水性というのは徐々に失われていくものですので、定期的に撥水スプレーをして撥水性を維持することが大事です。
バイク用レインスーツに必要な防水構造とは
バイク用レインスーツには、バイク走行ならではの防水構造が必要になります。
バイク用ではないレインスーツでも優れた耐水圧、透湿性を持つレインスーツはたくさんあります。
しかしバイク走行を考慮した防水構造がないので、バイク用として使用すると簡単に浸水してしまいます。
バイク用レインスーツに必要な防水構造
●各部(腕、胴、脚)のバタつきを抑える構造
参考画像:mont-bell(モンベル)ストームバイカー
画像参照元:mont-bell公式HP
この機能はバイク用レインスーツには必須といってよいでしょう。
バイク用レインスーツと銘打っている製品には必ず付いているはずの機能です。
生地が風によってバタつくと、風に煽られやすくなり、走行時の安定性が失われるだけでなく、思わぬ疲労にもつながります。
またレインスーツが煽られることで思わぬ箇所から浸水してしまうことがあります。
●ファスナーを完全に覆う大型のフラップ
参考画像:GOLDWIN(ゴールドウィン)GWS Gベクタープロフェッショナル コンパクトレインスーツ
画像参照元:GOLDWIN公式HP
この機能もバイク用レインスーツには必須の機能です。
この機能が付いてないレインスーツはバイク用のレインスーツではありません。
フロントのファスナーというのは防水上最大の弱点の一つです。
しかし無くすことはできません。かといって縫い目のようにシールしてしまうこともできません。
止水ファスナーという防水機能をもったファスナーも存在しますが、完全防水ではありません。
参考:YKK アクアガード
上記はファスナーの超有名メーカーが製造販売している止水ファスナーですが、
・このファスナーは完全防水ではありません。
とはっきりと記載されています。
そのため、ファスナーまで水が浸入しないように大型のフラップ(前立て)でファスナーを完全に覆い隠す構造が採用されています。
しかしこれもピンキリです。
良いレインスーツではフラップが2重構造になっていたりして防水性を高めています。(画像のGベクタープロフェッショナルコンパクトレインスーツがまさにそれです。)
画像のGベクタープロフェッショナルコンパクトレインスーツはフラップの上から下までまっすぐにベルクロが貼り付けられています。
これによりジャケットに隙間なくフラップを固定することができ、水の侵入を防ぐことができます。
しかし安価な製品では、フラップを固定するベルクロが、フラップを完全に密着させる構造ではない場合もあります。
KOMINEのBreathter Rainwear FIATO(ブレスターレインウェアフィアート)
がまさにそれで、フラップを固定するベルクロがなぜかブロック状で隙間を開けて等間隔で配置されています。
そのため、フラップのベルクロとベルクロの隙間の部分がうまくジャケットに密着せずに、そこから水が浸入しやすくなっています。
バイク用のレインスーツとしてフロントファスナーを雨から守るフラップは必須の機能ですが、それがどのように固定されているかも確認したほうがいいです。
バイク用レインスーツにあるとより良い防水構造
●ジャケットの裾のずり上がりを防ぐ構造、またずり上がっても問題ない構造
参考画像:KUSHITANI(クシタニ) STRECH RAIN SUIT(ストレッチレインスーツ)
画像参照元:KUSHITANI公式HP
前傾姿勢になるバイクでは、ジャケットの裾がずり上がってジャケットの裾とパンツの間の隙間から水が浸入してしまう場合があります。
そのため、バイク用のレインスーツでは、このずり上がりを防ぐまたは、ずり上がっても問題のない構造が必要になってきます。
参考画像のKUSHITANI(クシタニ) STRECH RAIN SUIT(ストレッチレインスーツ)ではビーバーテールという、バイク用のレインスーツでは珍しい機能を持っています。
ジャケットの裾の後ろに取り付けられたビーバーの尻尾の様なフラップをレインパンツの股の下から通して前側に固定することによって、ジャケットのずり上がりを防いでいます。
●手首と足首の生地が二重構造になっている
参考画像:KUSHITANI(クシタニ) STRECH RAIN SUIT(ストレッチレインスーツ)
画像参照元:KUSHITANI公式HP
手首や足首というのは基本ベルクロで巻いて固定します。
しかしそれだけだとやはり隙間ができやすく、雨の中長時間運転していると水が浸入しやすいです。
2重構造になっていれば外側の裾の内側に水が入ったとしても、内側にも生地があるので水の侵入はかなり抑えられます。
いい機能なんですが、この機能が実装されているバイク用レインスーツはあまりないですね。
●臀部のシートと接する部分に生地の継ぎ目がない構造
参考画像:Y’S GEARr(ワイズギア) ヤマハレーシングレインスーツ
画像参照元:Y’S GEAR公式HP
生地と生地の継ぎ目は防水上の弱点の一つです。
いくら生地の耐水圧性が優れていても縫い目の防水処理がしっかりとされていなければ容易に浸水します。
通常継ぎ目はシーリングされていて継ぎ目から浸水しないような処理がされています。
しかし、臀部は常に、体重分の圧力を受けながらシートと接し続ける場所です。何度もシートと擦れ続け、圧力を受け続けるうちに防水シーリングがはがれてしまい、そこから浸水してしまいます。
レインスーツでパンツの損耗の方が早い理由の多くがこれです。
なので継ぎ目自体を臀部のシートと接する部分に作らないような構造にすることで、防水機能を高めます。
ちょっと高額のバイク用レインスーツであれば、基本的にはこの機能は装備されているはずです。
逆に安価なバイク用レインスーツにはこの機能は付いていない場合が多いので、購入する際は確認してみてください。
バイク用レインスーツではしっかりとした防水構造が重要
いくらレインスーツの生地の耐水圧が優れていたとしても、水を侵入させない構造がしっかりしていなければ意味がありません。
GORE-TEXを使用した製品は高額なので、防水構造もしっかりしています。
しかしPU加工製品は耐水圧や透湿性の性能幅も大きくピンキリです、
そして残念なことに、安価な製品は防水構造がしっかりしていないことが多いです。
そのため、生地の耐水圧は十分にあるにも関わらず、浸水してしまう……なんて事が起きやすいです。
●バイク用レインスーツは耐水圧が優れているだけではダメ
コミネのスプリームレインウェアフィアートなんかがいい例です。
耐水圧はかなり高い数値を誇りますが、防水構造がしっかりしていないので、浸水しやすいです。
生地の耐水圧が高いから防水性に優れているというわけでは必ずしもないのです。
バイク用レインスーツでおススメのレインスーツ3選!
上記の事を踏まえた上で、僕のおススメするレインスーツは以下の3種類です。
1.GOLDWIN(ゴールドウィン)GWS Gベクタープロフェッショナル コンパクトレインスーツ
画像参照元:GOLDWIN公式HP
■防水透湿性能:初期耐水圧:40,000mm(B-2法)/透湿性20,000g/m2/24h(B-1法) 撥水性 100洗3級
■カラー:①ブラック×ライトグレー②ライトグレー×レッド③サンビーム×ブラック④アズテックブルー×ライトグレー
■サイズ:M/L/LL/XL
■価格:¥19,670+税(WEB SHOP 実売価格¥16,000~¥18,000税込 程度)
■先に紹介した機能で搭載されている機能
・各部のバタつきを抑える構造
・大型フラップ
・臀部のシートと接する部分に生地の継ぎ目がない構造
恐らくGORE-TEX以外のメンブレンを採用したレインスーツの中では最も高耐水圧&高透湿性。
さらに高性能でありながらコンパクトに収納可能で、携帯にも便利です。
単純な高耐水圧&高透湿性にこだわるのでしたら、このレインスーツをおススメします。
難点としてはコンパクト性が優先されているために着心地があまりよくないということでしょうか。
2.mont-bell(モンベル)ストームバイカー
画像参照元:mont-bell公式HP
■防水透湿性能:初期耐水圧:20,000mm(B-2法)/透湿性:15,000g/m2/24h(B-1法) 撥水性 超耐久撥水性
■カラー:①ブラック②サンセットオレンジ
■サイズ:S/M/L/LL/XL/XXL(男女兼用)
■価格:¥16,500+税(WEB SHOP 実売価格¥17,820 税込 程度)
■先に紹介した機能で搭載されている機能
・各部のバタつきを抑える構造
・大型フラップ
・ジャケットの裾のずり上がりを防ぐ・構造、またずり上がっても問題ない構造
アウトドアブランドの雄、mont-bellが販売するバイク用のレインスーツ。
mont-bellブランドだけあって細部のつくりもしっかりしており、安心して使用できます。
パンツには滑りにくい素材が使用されているので、濡れたシートに跨っても安定して走行できます。
また3レイヤー生地なので、着心地もいいです。
損耗しやすいパンツが単体で販売されているというのも嬉しいですね。
3.Y’S GEAR (ワイズギア)ヤマハレーシングレインスーツ
画像参照元:Y’S GEAR公式HP
■防水透湿性能:初期耐水圧:30,000mm/m3 透湿性:15,000g/m2/24h
■カラー:①ブルー
■サイズ:S/M/L//LL/3L/4L/BL/
■価格:¥32,000+税(WEB SHOP 実売価格¥24,000~¥25,000税込 程度)
■先に紹介した機能で搭載されている機能
・各部のバタつきを抑える構造
・大型フラップ(チャックの内側にフラップがあります)
・臀部のシートと接する部分に生地の継ぎ目がない構造
・手首と足首の生地が二重構造になっている
・ジャケットの裾のずり上がりを防ぐ構造、またずり上がっても問題ない構造
YAMAHAのバイクアパレルメーカーY’S GEARのレインスーツのフラグシップモデルです。
バイクメーカーが販売するだけあって、非常に多機能で、先に紹介した機能を全て搭載しています。
さらにストレッチ性もあって、裏地一体型の3レイヤーなので着心地も良いです。
ただそのぶんちょっと高額というのと、なぜかカラーリングがヤマハカラーのブルーの一色のみというのがネックですね。
どのレインスーツも生地の耐水圧とウェアの防水構造の両方に優れていて、総合的なクオリティが高いです。
次点.KUSHITANI(クシタニ) STRECH RAIN SUIT(ストレッチレインスーツ)
画像参照元:KUSHITANI公式HP
■防水透湿性能: ・ジャケット 生地初期耐水圧20,,000mm, 透湿性5,000g/㎡/24h ・ パンツ 生地初期耐水圧10,000mm, 透湿性8,000g/㎡/24h
■カラー:①ブラック②ダークグレー
■サイズ:M/L/LL/XL
■価格:¥28,000+税
■先に紹介した機能で搭載されている機能
・各部のバタつきを抑える構造
・大型フラップ
・臀部のシートと接する部分に生地の継ぎ目がない構造
・手首と足首の生地が二重構造になっている
・ジャケットの裾のずり上がりを防ぐ構造、またずり上がっても問題ない構造
革つなぎの老舗メーカーKUSHITANI(クシタニ)が販売するレインスーツです。
ジャケットの透湿性とパンツの耐水圧が推奨値よりも低いので本来はこのページで紹介するつもりはなかったのですが、機能性に非常にすぐれているので、次点扱いで紹介することにしました。
機能性については文句なしで、先に紹介した機能はすべて搭載されています。
そのうえストレッチ性もあり、裏地一体型の3レイヤーなので着心地も良いです。
ただジャケットの透湿性とパンツの耐水圧が推奨値よりも低いのと、それにも関わらず金額が今回紹介したどのレインスーツよりも高額というのがかなりのネックポイントですね。
耐水圧10,000mm程度のレインウェアは時速何キロ程度で走行可能?
僕はこの記事で耐水圧20,000mm以上のレインスーツを推奨してきました。
では世に販売されている耐水圧10,000mm程度のバイク用レインウェアは無意味なのか。
一応そんなことはありません。速度を出さないことと、長時間の運転をしないことを心がければ、耐水圧10,000mm程度のバイク用レインウェアでも十分に浸水を防ぐことができます。
耐水圧10,000mm程度のレインスーツで浸水しない速度とは?
以下の速度が耐水圧10,000mm程度のレインスーツでも浸水しない速度の目安です。
●普通程度の雨(水圧1000mm程度)の場合 時速50km程度
●中程度の雨(水圧2000mm程度)の場合 時速40km程度
このぐらいの速度でしたら浸水しないで済むと思われます。
スピードはあまり出せないですね。50ccのスクーターに乗られている方は耐水圧10,000mm程度でも全然問題ないと思います。
重要なのは走行時間を短くするという事です。
仮に上記以上の速度を超えてしまったとしても30分程度の短時間であれば浸水する可能性は低いです。
ただ、逆にこの程度の速度しか出せないという制約があった方が、雨の日はかえって安全に走行できるのかもしれませんね(笑)
↓詳しくは以下の記事にまとめてありますので、お時間があればどうぞ!
●バイクウェア 防水機能について バイクウェアに必要な耐水圧は?
まとめ
今回はシーン別のレインウェアのおススメをまとめてみました。
もしあなたがこれからレインウェアの購入を考えていて、この記事が少しでもその助けになったら幸いです。
自分のシーンにあったレインスーツを選んで、少しでも快適な雨天走行をしてください。
PU加工のバイク用レインスーツのおススメまとめはこちらから!
●おススメ!バイク用レインウェア比較-PU加工(ゴアテックス以外)編-
GORE-TEXのバイク用レインスーツのおススメまとめはこちらから!
●おススメ!バイク用レインウェア比較-ゴアテックス編-
今回もありがとうございました!