SHOEI(ショウエイ) GT-Air2の紹介! レビュー/インプレ【ブログ】





最近は各メーカーからツーリングヘルメットというツーリング向けに特化したヘルメットが販売されています。

●ツーリングヘルメットとは……

簡単に言ってしまうと、シールド交換無しでサンシェード機能が得られるタイプのヘルメットです。

SHOEIが新型ツーリングヘルメットGT-Air2(ジーティーエアーツー)を新発売しました。

今回はGT-Air2(ジーティーエアーツー)について、様々な点から掘り下げて、良い点も悪い点も紹介していきたいと思います。

SHOEI(ショウエイ) GT-Air 2(ジーティー – エアー ツー)

ルミナスホワイト

画像参照元:SHOEI公式HP

ブラック

画像参照元:SHOEI公式HP

マットブラック

画像参照元:SHOEI公式HP

マットディープグレー

画像参照元:SHOEI公式HP

アンスラサイトメタリック

画像参照元:SHOEI公式HP

マットブルーメタリック

画像参照元:SHOEI公式HP

SHOEI(ショウエイ)GT-Air2の基本情報

■カラー:

ノーマルモデル

①ルミナスホワイト②ブラック③マットブラック④マットディープグレー⑤アンスラサイトメタリック⑥マットブルーメタリック

グラフィックモデル

CROSSBAR(クロスバー)■カラー:①フラットブラックレッド②フラットブラックホワイト③フラットブラックブルー

AFFAIR(アフェア)■カラー:①パールホワイトレッド②フラットブラックレッド③フラットブラックシルバー

CONJURE(コンジュール)■カラー:①ホワイトブラック②フラットブラックグレー

REDUX(リダックス)■カラー:①ブラックブルーレッドブラックグリーン③フラットブラックシルバー

■サイズ:S, M, L, XL,XXL

■重量:S,.1.52Kg、M.1.56Kg、L.1.58Kg、XL.1.63Kg、XXL.1.59Kg

■価格:ノーマルモデル    51,000円(+税)、グラフィックモデル 59,000(+税)

■規格:JIS

■機能:

=====メーカー説明=====

精緻なデザインに宿す機能性、唯一のプレミアムツーリングフルフェイス

インナーサンバイザーを装備したプレミアムツーリングフルフェイス、GT-Air。

利便性の高さだけでなく、アグレッシブかつ洗練されたデザインから多くのライダーの支持を獲得し、SHOEIの新たなツーリングフルフェイスとして確固たる地位を築いた。

GT-AirのDNAを引き継ぎ、機能性や快適性を進化させ生まれ変わったGT-AirⅡがプレミアムツーリングフルフェイスの真価を示す。

参照元:SHOEI公式HP




SHOEI(ショウエイ) GT-Air2はツーリング向けに特化したモデル

2019年4月末に発売されたSHOEIの新型ツーリングフルフェイスヘルメット。

GT-AIRをモデルチェンジした製品です。

●SHOEI(ショウエイ)GT-Air2の価格

ノーマルモデル    51,000円(+税8%)  参考:WEB SHOP販売価格 50,000円程度

グラフィックモデル 59,000(+税)      参考:WEB SHOP販売価格 58,000円程度

さすがにSHOEIのツーリングヘルメットのプレミアムモデルとだけあって高額です。

同じカテゴリのARAIのアストラルXとは同価格(実売価格だとGT-Air2の方が7,000円程度高額です)で、Kabuto KAMUI3 と比べると2万円以上高額です。

ただ、一つ言えるのが、値段が高い理由はちゃんとあって、GT-Air2はその価格に見合った機能を有しているということです。

SHOEI(ショウエイ) GT-Air 2の安全性

●シェルには高性能な複合素材を使用

AIM+ (Advanced Integrated Matrix Plus Multi-Fiber)

強靭なガラス繊維と3次元形状とした有機繊維の複合積層構造を基に、高い弾性性能を持つ高性能有機繊維をプラス。

軽量でありながらも剛性弾性に優れる高性能なシェル構造。

一般的なFRPに比べ、素材同士の無駄な重なりや樹脂素材の流動が少なく、高強度で軽量なシェルを実現しています。

引用元:SHOEI公式HP

AIM+の構造図

画像参照元:SHOEI公式HP

●ヘルメットの安全規格はJISのみだけど、大丈夫なのか

SHOEI(ショウエイ)GT-Air 2の安全規格はJISのみです。

SNELLやECE、MFJといった規格を取得していません。

そのため、安全性に問題があると思われがちです。

SNELLやECE、MFJといった規格を取得していないので、安全性に問題があるのではないか……最も危険な瞬間に必要とされる性能を発揮しないのではないか……

しかし、そんなことはありません。

実はJISは優れた規格なのです。

JISを取得していれば安全性については確保されていると言っていいでしょう





●JISの試験方法についてはSHOEIがHPで詳細に紹介してくれています。

Passive Safety─ ライダーを守る性能と安全規格 ─

以下上記のページからの引用です。

JIS規格はSNELL規格では規定のない衝撃加速度の継続時間を定めるなど、SNELL規格とは異なった試験内容となっており、比較的軽量化が可能(中略)

総合的な安全性能においてSNELL規格に勝るとも劣らない優れた規格です。

SNELL規格が「高いシェル剛性を求める規格」

ヨーロッパECER22/05規格は「ヘルメットをクラッシャブルな構造として、中の頭を守る」という考え方から生まれた規格。

そして双方の中間的なJIS規格は柔と剛を併せ持つ優れた規格であるといえます。

高速度のレースを前提として作られたSNELL規格の強度を実現するためには、ヘルメットはある程度重くならざるを得ません。

一般使用における頭部の運動性や事故の際の頸部への負担を考慮するとその重量が不利になる場合もあり(中略)

必ずしもあらゆる状況でSNELL規格が万能というわけではありません。

上記の通りJIS規格というのは別にSNELL規格などと比較して決して劣っているわけではありません。

むしろJISは路上での使用に即した規格であるといえます。

ただ、さすがにARAIのASTRAL-Xと比べてしまうと安全性は数段下です。

あちらは安全性を優先して、便利な機能を付けていない部分がありますし、帽体(シェル)も

デザインを犠牲にしてでも防御性を優先させています。

KABUTOのKAMUI-3とは安全性能にあまり差がないと思います。

あちらも規格はJISのみなので。

KABUTOのKAMUI-3との違いは細かい部分のクオリティや快適機能の違いの差です。

どうしても安全性に不安が残る方にはARAI(アライ)のASTRAL-X(アストラル-エックス)をおススメします。




SHOEI(ショウエイ) GT-Air 2の通気性(エアコントロール)

●エアインテークは通常のモデルと比べて大型

GT-Air2には種類のベンチレーションが搭載されています。

・アッパーエアインテーク

・ロアエアインテーク

・トップエアアウトレット

アッパーエアインテークとロアエアインテークはSHOEIのZ7などと比べると巨大化されています。

そのため、グローブを付けたままでも簡単に開閉がしやすいです。

GT-Air2のベンチレーション

画像参照元:SHOEI公式HP

ベンチレーション部がハイライトされているので、こちらの方がわかりやすいと思います。

画像参照元:SHOEI公式説明書

●性能は前型よりも若干向上

ベンチレーションの形状は、帽体の形状変更にあわせて、前型のGT-Airから変更されています。

しかしベンチレーションの性能については、前型のGT-Airと同等の性能です。

ただ、SHOEI社員の方の話によると、ベンチレーションの性能は若干向上しているそうです。(ほんとうに若干らしいですが……(笑))

エアーコントロールのイメージ図

画像参照元:SHOEI公式HP

●ベンチレーション機能はX-ForteenやZ7などと比べると劣る

同じSHOEIの製品であるX-ForteenやZ7と比べるとGT-Air2のベンチレーション機能は残念ながら劣ります。

理由は単純でベンチレーションの数です。

X-ForteenやZ-7は額部分にベンチレーションがあります。

しかしGT-Air 2には額部分にベンチレーションが設置されていません。

額にインナーのサンバイザーの収納スペースがあるためです。

GT-Air2とZ-7のベンチレーション比較。 GT-Air2は額部にサンシェードが格納されている関係上、ベンチレーションのスペースが少なくならざるを得ない

画像参照元:SHOEI公式HP

このため、X-ForteenやZ-7と比べると頭頂部をの風が通り抜けはどうしても少なくなってしまいます。

また、X-Forteenの側面(頬部分)を空気が通る仕組みもありません。(Z-7にもこれはありません)

ですので、X-ForteenやZ-7から買い替える方は注意が必要です。

■SHOEI製品のベンチレーション性能比較

X-Forteen > Z-7 > GT-Air2




SHOEI(ショウエイ) GT-Air 2の被り心地

●頭全体が軽く包み込まれるような程よいフィット感

頭全体が包み込まれるような感覚があり、程よくフィットします。

窮屈さは全く感じず、被っていてもストレスを感じません。

また、ヘルメットに頭を入れるときも入れにくさはありません。

着脱のしやすさやホールド性などを考慮して、内装各部の起毛の方向性を検討するなど細部にも配慮されている

画像参照元:SHOEI公式HP

●被り心地、被りやすさ、他メーカーモデルとの比較

被り心地はGT-Air 2 = ASTRAL-X >>> KAMUI 3ですね。

被りやすさ(脱着のしやすさ)はGT-Air 2 > kAMUI 3 >>> ASTRAL-Xです。

●内装の生地には吸湿速乾素材HYGRA(ハイグラ)を使用

汗をかきやすい頬や額部分には吸湿速乾HYGRA(ハイグラ)が使用されています。

画像参照元:ユニチカ公式HP

HYGRA(ハイグラ)とは……

自重の約35倍の吸水能力を持つ吸水ポリマーをナイロンで包み込んだ芯鞘構造繊維。

ナイロンでありながら、コットンをしのぐ吸湿性や放湿性を発揮し、ベトつきやムレを解消します。

スポーツウェアやインナーウェア、ソックス、産業資材など幅広い分野で実績を上げています。

出典元:ユニチカ公式HP

HYGRA(ハイグラ)の吸湿速乾機能のおかげで、夏場などの汗をかきやすい時期には、頬や額のべたつきや、ヘルメット内の蒸れが軽減されます。

ヘルメットを被っている以上快適とは言い難いですが、通常の内装に比べて大分快適になっているとは思います。

できることなら頭頂部など、頭部と接触する箇所すべてにこのHYGRA(ハイグラ)を使用して欲しかったです。

●HYGRA(ハイグラ)速乾素材なので洗濯性も〇

またHYGRA(ハイグラ)は速乾素材ですので、洗ってもすぐに乾きます。

ヘルメットの内装は常に肌と接していますから実はかなり汚れやすく、汚れが蓄積しやすいです。

そして汚れたままの内装を使用し続けると、肌荒れやニキビなどになりやすいです。

実際僕自身、汚れた内装を使用し続けた結果ニキビができてしまいました。顔の肌は繊細なので汚れには敏感です。

ですので、ヘルメットの内装は常にきれいな状態に保つことが大事だと思います。

●被り口に近い部分には起毛生地を使用

被り口に近い部分には起毛生地を使用しています。

これによりヘルメット着脱時に肌とのこすれを和らげます。

被り口は被る際に頬の部分と強くこすれます。頬部分の肌は繊細ですから、これは嬉しいですね。

●内装、前モデルからの変更点

内装の機能的には前モデルのGT-Airからの変更点はありません。

ただし、帽体が変わっているので、パッドの型は異なっています。

そのため、前型であるGT-Airの内装を流用することはできません

ご注意ください。

前モデルのGT-Airからの改良点は、

チークパッド下端部分に使用されたレザー調の素材に、デザインアクセントとして赤でステッチが施されていることぐらいでしょうか。

これでだけでもスポーティーな雰囲気が生まれます。

画像参照元:SHOEI公式HP





●しかし人の頭の形は千差万別……すべての人の頭の形にフィットする内装は無い

僕の場合は、ヘルメットのサイズはLサイズです。

そのまま被っても内装が窮屈だとかブカブカといったことはありませんでした。

しかし頭の形は人それぞれです。

ヘルメット自体のサイズは、細かくサイズ分けされているわけではありません。

そのため、すべての方々に内装がフィットするとは限りません。

またそのままでも特に問題を感じない方でも、自分の頭に合わせてより精密に内装を調整することで長時間のツーリングでの疲労感を軽減することができます。

長時間ヘルメットを着けていると、わずかなフィット感のズレでも知らず知らずのうちにズレしまうものです。

そういった方々のために、内装を自分の頭のサイズにピッタリ合わせてくれるサービスがあります。

それがPersonal Fitting System SERVICEです。

ヘルメットの内装調整が受けられる店舗の印 SHOEI TECHNICAL SHOP・アドバイザリースタッフが在籍する店舗にはこのマークがあります

画像参照元:SHOEI公式HP

●Personal Fitting System SERVICEについて

また、SHOEIはPersonal Fitting Systemというサービスを展開しています。

画像参照元:SHOEI公式HP

どんなサービスかと言いますと、SHOEI認定店でSHOEI製品を購入された方を対象に、より細やかなフィッティングを得るための内装の調整を行ってくれるサービスです。

購入者の方の頭の形に合わせて内装のパッドを調整してくれるので、自分専用の内装パッドを作成することができます。

頭部計測例

鉢周り計測例

画像参照元:SHOEI公式HP

やっぱり人それぞれ頭の形は違うので、頭の形に合わせた内装が必要です。

これからSHOEIのヘルメットの購入を考えられている方で、またフィッティングサービスを利用したことない方はぜひご利用ください。

ただ持ち込みヘルメットのフィッティングサービスは受け付けていないので、あくまでも店舗で購入する必要があります。

ですのでWEB SHOPで購入するよりも割高な金額で、ヘルメットを購入する必要があります。

ですがその差額分のリターンは確実に得られると思います。

認定店でヘルメットを購入して、フィッティングサービスを受けられることをおススメします。




SHOEI(ショウエイ) GT-Air 2の静粛性

前モデルのGT-Airの静粛性は、非常に優れていました。

KAMUI-2などと比較すると、同じヘルメットとは思えないほど静粛性に違いがありました。

では新モデルのG-Air2はどうなのか。

SHOEIの社員の方の話によると、前モデルのGT-Airと比べると若干ですが静粛性が増しているとのこと。

しかし、僕個人の感覚でいえば、はっきりと体感できる違いを感じることができませんでした。

なので前モデルと同程度の静粛性と考えて頂ければ大丈夫です。

前モデルのGT-Air自体が静粛性についてはかなり優れた方でしたので、問題ないと思います。

静粛性に関して関してランクを付けるならば、僕個人の感覚だと以下のような順位になりました。

静粛性ランク:GT-Air 2 > ASTRAL-X(アストラル-X) >>KAMUI 3(カムイ3)




SHOEI(ショウエイ)GT-Air 2のインナーサンバイザーは超高性能

●優れた光学性能を誇り、ほぼサングラスと同義

GT-Air2のインナーサンバイザーは、欧州のサングラス規格EN1836に匹敵するほどの光学性能を誇ります。

欧州のサングラス規格EN1836に匹敵するほどの光学性を誇るため、ほぼサングラスそのもの

画像参照元:SHOEI公式HP

つまりは、屈折力と凹凸面の平行度がシビアな規定値内に収まっていて、非常にゆがみが少ないバイザーということです。

レンズの色が暗くても、ゆがみの少ないレンズは非常に見やすいです。

視界の良し悪しが重大事故につながるライディングでは、ゆがみの有無は非常に重要な要素です。

そして、GT-Air2のインナーサンバイザーは、前モデルから2点の改良が加えられています。

●変更点1:インナーサンバイザーは前モデルから+5mm延長

これが今回の最も大きな変更点の一つです。

インナーサンバイザーは前モデルのGT-Airのものと比べて+5mm延長されています。

QSV-2がGT-Air2のインナーサンバイザー。バイザーの範囲が拡大している

画像参照元:SHOEI公式HP

そのためGT-AIR(2ではない)と比べてサンシェードの下から入り込んでくる光が大分軽減されています。

この下部の隙間から入り込んでくる光は、僕はもう慣れてしまって気になりませんが、気になる方は気になるそうですね。

それがさらに入りにくくなったというのは、より走行に集中できるのでいい改良です。

●変更点2:ハードコートが塗布され防曇性能が追加

前モデルのGT-Airの欠点の一つとして、「インナーサンバイザーが曇る」というものがありました。

シールドにはPINLOCKを付けて曇りを防止したのに、インナーサンバイザーが曇って前が見えないという本末転倒な事態が発生していたのです。

そのフィードバックを受けてか、GT-Air 2のインナーサンバイザーQSV-2には曇りを防止するためのハードコートが付与されています。

その結果かわかりませんが気になることが一つ。

前モデルのGT-Airでは「欧州のサングラス規格EN1836に適合する」とはっきりと記載されていましたが、GT-Air 2では「欧州のサングラス規格EN1836に匹敵する」というぼやけた記載に変更されています。

防曇ハードコートによって屈折力や平行度が規定値を満たせなくなったのでしょうか?

使用した感じでは、光学性能に関しては、前モデルとの違いが全く分かりませんでした。

なのであまり気にすることではないと思います。





●GT-Air 2のインナーサンバイザーはスモークのみなのはなぜか?ミラータイプがない理由

GT-Air 2のインナーサンバイザーは現在スモークの1種類のみです。

GT-Air2のインナーサンバイザーはスモークの1種類のみしかラインアップされていない

画像参照元:SHOEI公式HP

KabutoのKAMUI 3にはスモークのほかにシルバーとブルーがあります。

画像参照元:Kabuto公式HP

ARAIのASTRAL-Xのプロサンシェードにもシルバーとブルー、レッドがラインアップされています。

画像参照元:ARAI公式HP

強烈な日差しに対抗するには、やはりミラー系が一番です。

では、なぜSHOEIのGT-Air2はインナーサンバイザーはスモーク1種類のみなのか。

そこにはSHOEIのこだわりがあり、ミラータイプのインナーサンバイザーをラインアップしないしっかりとした理由があります。

サンバイザーにミラー系を塗布した場合、どうしてもゆがみが発生してしまうそうで、

欧州のサングラス規格EN1836を満たせなくなってしまうそうです。

SHOEIはインナーサンバイザーの視界の歪みにはかなり気を使っており、サングラスと同等の性能を付与することにこだわっています。

これは、SHOEIの考える2つの安全性の内の1つ、Active Safety(アクティブセーフティー)
「万が一を起こさないための性能」、に基づいています。

SHOEI SAFETY CONCEPT(ショウエイセーフティーコンセプト)

画像参照元:SHOEI公式HP

シールド+インナーサンバイザー越しに見る場合、どうしても透過率などは悪くなるので、視界は悪くなりやすいです。

インナーサンバイザーの歪みによるちょっとした視界の歪みが、重大事故の原因になることはじゅうぶんにあり得ます。

SHOEIは自社の理念に基づき、そういったわずかな可能性も危惧して、インナーサンバイザーの光学的なクオリティにこだわっているのです。

ですので、SHOEIからミラー系のインナーサンバイザーが発売されることは今後もないでしょう。

SHOEIのインナーサンバイザー付きのヘルメットでどうしてもミラー系を使いたい場合は、シールドそのものをミラーシールドに変更するしかありません。

(ミラーシールドとインナーサンバイザーとの併用は、視界を著しく悪くするのでやめた方がいいです)




SHOEI(ショウエイ) GT-Air 2のインカム

GT-Air2のインカム取り付け部は、完全にSENAのSRL2専用設計となっています。

画像参照元:SHOEI公式HP

そのため、基本的にはSENAのSRL2以外のインカムを取り付けることができません

GT-Air2に買い替える場合、もし、前のヘルメットで別のインカムを使用していた場合は流用できませんので注意してください。

インカムの選択肢がないことは、かなり賛否が分かれる箇所ですね。

前のヘルメットが前型のGT-Airから買い替える場合でも、インカムも一緒に買い替える必要があるのが厄介です。

そしてインカムのSENAのSRL2の値段も33,000円(税別)と、ヘルメットの交換ついでに一緒に購入!とは簡単にはいかない値段です(笑)

この専用設計さえなければ、GT-Air2に迷わず買い替えるのに……という方も一定数いらっしゃると思います。

インカムを取り付けたときの見た目がかなりスマートになるのはいいことなのですが。

オプションか何かで、SENAのSRL2以外のインカムも取り付けられるようにしておいて欲しかったですね。

これは今後の改良に期待するしかありません。

SHOEI(ショウエイ) GT-Air 2のシールド

CNS-1 PINLOCK® ピンロック対応です

画像参照元:SHOEI公式HP

SHOEIのシールドはポリカーボネイト製のインジェクション成形を採用しています。

そのため、歪みの少ないクリアな視界を確保されています。

それに加え、様々な機能が付与されています。

これらの機能は必ずしもSHOEIのシールド特有の機能ではありませんが、ざっと紹介させていただきます。

●素材自体に紫外線吸収成分を添加

素材自体に紫外線吸収成分を添加されているので、シールドにはUVカット機能が付いています。

主要メーカーのシールドには基本的に付いている機能だと思います。

●撥水加工

雨水などをはじく撥水加工が施されています。

ただし経年によって消失してしまうので、撥水加工が必要な方は定期的に再塗布する必要があります。

●傷が付きにくいハードコートが塗布

車のヘッドライトなどに塗布されているものですね。もちろんコーティングの厚みなどは異なりますが。

ハードコートを塗布すると、耐摩傷性、耐候性、耐溶剤性などが向上します。

ただし半永久的なものではなく、一般的には数年で剥がれてしまうと言われています。

●完璧な密着性・気密性

シールドの加工精度と、可変軸ダブルアクションのシールドベースにより、密着性、気密性はほぼ完璧です。

それによって、静粛性が格段に向上しています。

雨の日は雨水の侵入を完全に防ぎ、冬場は寒風の侵入を極力抑えることができます。

●PINLOCKをつければ曇らない

シールドにはPINLOCK® EVO lensを装着可能です。

PINLOCK(ピンロック)とは強力な曇り止めを発揮する機能です。

防曇加工を施したシートとシールドの間に空気の層を作ることで、低温時や降雨時においても強力な曇り止め効果を発揮します。

冬期は自分の息ですぐにシールドが曇るので、必須の機能ですね。

PINLOCK使用時の視界のイメージ図

画像参照元:SHOEI公式HP

SHOEIモデルの大きな特徴は、一部のモデルを除き、PINLOCK® EVO lensのシリコン製シールが視界にかからぬよう、その面積が極限まで拡大されています。

ピンロックシート装着例

PINLOCK® EVO lensを装着したCWR-1シールドの断面図

画像参照元:SHOEI公式HP





●シールドの微開機能

SHOEIのシールドは、微開位置で固定することができます。

これによりほとんどシールドを閉じたままの状態で、シールド内の曇りの除去や換気を行うことができます。

ちょっと気になる点は、シールドの開閉に、他のメーカーよりも力が必要なことですかね。

また、ARAI(アライ)などの無段階式と違って、ラチェットのように、一段上げる度にシールドが固定されるので、大きく開いたり閉じたりする場合は、シールドがガクガク動くきます。

シールドの固定位置を細かく微調整できるのはいいのですが、正直、うっとおしい時がありますね。




SHOEI(ショウエイ) GT-Air2のグラフィックモデル

SHOEI(ショウエイ)のヘルメットはグラフィックモデルが豊富です。

とりわけGT-Air2のグラフィックモデルは結構な力の入れようです。

グラフィックの傾向としては、派手なグラフィックは少なく、シンプルでスタイリッシュなものが多いです。

僕個人としては同じSHOEIのZ-7やX-Fourteenのグラフィックモデルよりも、好きなグラフィックが多いです。

価格はどれも定価で59.000円です。

ノーマルモデルよりも7~8000円近く高くなってしまうのがネックですが、きっと好みのグラフィックのヘルメットが見つかるはずです。




CROSSBAR(クロスバー)

後方に太いラインの入ったモデル。

画像参照元:SHOEI公式HP

額部から頭頂にかけて縞模様のラインが入っています。

画像参照元:SHOEI公式HP

TC-1 (RED/BLACK)
画像参照元:SHOEI公式HP

TC-2 (BLUE/WHITE)
画像参照元:SHOEI公式HP

TC-3 (YELLOW/BLACK)
画像参照元:SHOEI公式HP
TC-5 (GREY/BLACK) マットカラー
画像参照元:SHOEI公式HP
TC-6 (WHITE/BLACK)
画像参照元:SHOEI公式HP
TC-10 (BLUE/BLACK) マットカラー
画像参照元:SHOEI公式HP




AFFAIR(アフェア)

シールド上部から脇にかけてカラーラインが通ったモデル。

画像参照元:SHOEI公式HP

カラーラインが頭頂部から額、シールド脇にかけて大きく入っているので、ツートンが映えます。

上から見るとこんな感じです。

画像参照元:SHOEI公式HP

TC-1 (RED/BLACK) マットカラー
画像参照元:SHOEI公式HP

TC-3 (YELLOW/BLACK)
画像参照元:SHOEI公式HP
TC-6 (WHITE/BLACK)
画像参照元:SHOEI公式HP




CONJURE(コンジュール)

CONJURE(コンジュール)は祈願、まじない、呪文、魔法とかいった意味です。

そういった意味で見ると確かにCONJURE(コンジュール)のグラフィックは幻想的な、神秘的なイメージを彷彿させますね。

正直、個人的にはあまり好みのグラフィックではありません。

TC-6 (WHITE/GOLD)
画像参照元:SHOEI公式HP

TC-7 (PINK/WHITE)
画像参照元:SHOEI公式HP

TC-9 (GOLD/BLACK) マットカラー
画像参照元:SHOEI公式HP




DEVIATION(デヴィエーション)

ヘルメット全体に地図のようなグラフィックが施されています。

独特な、異様な派手さに仕上がっています。

画像参照元:SHOEI公式HP

頭頂部には羅針盤のデザイン。かなり攻めたデザインですね。

画像参照元:SHOEI公式HP

DEVIATION(デヴィエーション)を辞書で引いてみると、基本の意味としては、

逸脱、脱線

といった意味らしいです。

他にも細かい意味があります。

1.(船舶の)離路

2.羅針盤やコンパスが示す方位の誤差のうち、機器自体または設置された船舶や建物などの環境によって生じるもの。

グラフィックのデザインが地図と羅針盤ですので、どうやらこちらの意味と関係がありそうですね。

TC-9 (GOLD/BLACK)
画像参照元:SHOEI公式HP




REDUX(リダックス)

REDUX(リダックス)とは復刻版とか帰ってきた~という表現の際に使用される接頭辞です。

以前別のモデルで使用していたグラフィックを復刻させたという事でしょうか?

ヘルメットの中心から右の位置に、前方から後方にかけて、一本のカラーラインが通っています。

REDUXを上から見た画像

画像参照元:SHOEI公式HP

派手さはありませんが、シンプルでどんなバイクにも合わせやすいです。

TC-1 (RED/BLACK) マットカラー
画像参照元:SHOEI公式HP

TC-2 (BLUE/BLACK) マットカラー
画像参照元:SHOEI公式HP

TC-3 (YELLOW/BLACK) マットカラー
画像参照元:SHOEI公式HP

TC-4 (GREEN/BLACK) マットカラー
画像参照元:SHOEI公式HP

TC-5 (BLACK/WHITE) マットカラー
画像参照元:SHOEI公式HP

TC-6 (WHITE/BLACK)
画像参照元:SHOEI公式HP




SHOEI(ショウエイ)GT-Air 2の問題点、欠点

●シールドを上げ下げするときスムーズではない。

SHOEIにはシールドが締まる直前の地点でシールドがストップできる機能、微開機能が付いています。

これにより暑い日でも微妙にシールドを空いた状態を保つことができ、風の侵入を抑えつつ、ヘルメット内部をより換気することができます。

便利なシールドの微開機能ですが、デメリットもあります。

それはシールドを閉じたり開いたりする際、スムーズに動かないということです。

特に気になるのがシールドを上げる場合。

シールドを上げる際にはちょっと力を入れる必要があります。

恐らくシールドを微開位置で固定するために、シールドを開閉するギアを固くする必要があったのでしょう。

走行中にシールドを上げる場合、少し力を入れる必要があるので、ヘルメットごと上に持ってかれる場合があり、この点は不快に感じる方もいると思います。

また、ヘルメットを手に持った状態でシールドを閉じた状態から開くのは注意が必要です。

開くのに少し力が要るので、その力がうまく伝わらずに逃げてしまうと、滑ってヘルメットを落とす原因になります。

もう少し少ない力でシールドを上げられるようにしてほしかったです。

●取り付けられるインカムがSENAのSRL2のみ

インカムの取り付け部は、完全にSENAのSRL2専用設計であるため。SENAのSRL2しか取り付けることができません。

取り付けようと思えば他のインカムを取り付けることも可能ですが、走行中に脱落する危険性があるためおススメはできません。

そのため、ヘルメットをGT-Air2に買い替える方で、インカムを使用される方は、インカムも一緒に買い替える必要があります。

すでに高性能なインカムを使用している場合は、それが使用できなくなってしまうので、そういう方にとっては、かなりマイナスポイントです。

そしてこのSENAのSRL2、なんと33,000円(税別)もします(笑)

GT-Air2の購入して、尚且つインカムも使用したい場合は、7~8万円の出費になってしまいます。

ヘルメットだけを買い替えるつもりが、インカムまで一緒に買い替え、となると躊躇してしまいまう方も多いのではないかと思います。

事実、このインカム専用設計が原因でGT-Air2の購入を見送った人は、僕の周りや、販売店の店員の話を聞いてもけっこうな数います。

まあ、その分専用設計の恩恵はかなりあります。

配線が外に出て目立つこともありませんし、見た目がかなりスマートになります。

インカム自体の性能もいいですし。

それらの点は素晴らしいです。

ただいかんせん初期費用が掛かりすぎると思います。

ヘルメット+インカムを合わせて交換というのは、中々思い切りが必要になってくるかと思います。

この点は次回改良してほしいですね。

専用設計も良いですが、オプションパーツを追加するといった処置か何かで、他のインカムも取り付けられるようにしてほしいです。




ここからは、インナーサンシェード(インナーサンバイザー)付きヘルメットに共通した問題点です。

●目の上の視界が狭い

インナーサンシェードを搭載している分、ヘルメットは前にせり出しています。

そのため、インナーサンシェード無しのヘルメットと比較して、目の上の視界がどうしても制限されてしまうのです。

これは仕方ないといえば仕方ないですね。

ARAIが頑なにインナーサンシェードを採用しない理由その1がこれです。

ASTORAL-Xはプロサンシェードというシールドの外側に装備するサンシェードを使用しています。

まあこれにもメリットデメリットはあるのですが。

●目の上の部分の防御力が低い

インナーサンシェードを収納するスペースのためこの部分の帽体の防御力が減少するそうです。

ARAIが頑なにインナーサンシェードを採用しない理由その2がこれです。

ASTORAL-Xはプロサンシェードというシールドの外側に装備するサンシェードを使用しているため、帽体の防御力を損なうことなく、サンシェード機能が得られています。

インナーサンシェード付きのヘルメットというのは、無しのヘルメットに比べて、安全性に欠ける部分があるのです。

その点はしっかり理解したうえで使用したいですね。




SHOEI(ショウエイ)GT-Air 2のまとめ

●良い点

・エッジの効いたスタイリッシュなデザイン

・インナーサンバイザーが超高精度で、欧州のサングラス規格をパスできるレベル

・SENAのSRL2インカムの専用設計にしたおかげで、インカムを装着しても出っ張らず見た目が変化しない

・グラフィックモデルが豊富

●ダメな点

・取り付けられるインカムがSENAのSRL2のみで汎用性がない。ヘルメットをGT-Air2に買い替えてインカムを使用したい場合は、インカムも買い替える必要がある

・インナーサンバイザーにミラーのラインアップが無い

今回はSHOEIのGT-Air2(ジーティーエアーツー)を紹介しました。

ツーリングヘルメットの全体的な性能としては、その値段に相応しいです。

超高精度のインナーサンバイザー、気密性、静粛性ともに最高レベルでプレミアム感があります。

インカムがSENAのSRL2専用設計という点が、良くも悪くも今回最大の問題点で、

インカムを装着しても見た目が全く変化せず、配線もはみ出すこともないので、非常にスタイリッシュに運用することができます。

一方他のインカムを使うことができないので、ヘルメットをGT-Air2にしてインカムを使用したい場合は、インカムをわざわざ買い替える必要があるということです。

これだけで予算が+30,000円になってしまいます。

ヘルメット自体の完成度はかなり高いので、他のメーカーのインカムも取り付けられるようになればもっと売れると思うのですが……どうですかね。

その点は今後のマイナーチェンジに期待です。

インカムを使用しない方には、手放しでおススメできるレベルのヘルメットです。

その分値段も高額ですが、試着してみて、良いと感じたら購入して損はないはずです。

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